紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所(三重県津市)
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 オオクチバス(ブラックバス)の料理

 ブラックバスは、オオクチバスとコクチバスを総称したもので、これらが一度水系に入ると在来魚を捕食し、その数を著しく減少させてしまうので、外来生物法で特定外来生物に指定されている。この法律によって、オオクチバスを運搬し、あるいは放流することが禁止され、違反すると1年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金が科される。

 ブラックバスは、法律成立前に、既に多くの湖沼等に放流されて増殖し、在来魚を駆逐しつつある。この魚が大きく成長してしまうと日本では天敵となる生物は少なく、カワウぐらいしか考えられない。ブラックバスはスポーツフィッシングの対象として釣られても、その場で再放流されてしまうので(この場合は罰則はかからない)、密度抑制要因にはならない。

 琵琶湖では、ブラックバスの増加で在来魚の漁獲量が激減しているという。これまでボランティアが、釣ったブラックバスを回収箱に投げ込んで、この外来魚の密度低下に協力している。

 ところで、最近、琵琶湖でブラックバスやブルーギルが大量に捕れるので、琵琶湖周辺のレストランでこれらを料理のメニューに加えるところが出てきた。

 筆者は、琵琶湖博物館に行ってきたが、館内にあるレストランのメニューに、「湖の幸の天丼」などオオクチバスの切り身をフライにした料理が出されていたので賞味してみた。肉は白身、味は淡泊でくせがなく、フライ料理はおいしいと思った。オオクチバスはいっぱい釣れるので、鮒寿司(ふなずし)の材料であるニゴロブナが入手しにくくなったようなことは生じないだろう。今後、釣ったオオクチバスを自宅で料理するだけでなく、外食で多くの人がバス料理を注文するようになれば、釣り人がレストランに売り込んで必要経費を捻出できるようになる。

 人間がオオクチバスを漁業資源として活用するようになれば、オオクチバスの密度抑制要因となって、この魚が湖沼という生態系の中で「普通の魚」になる日が来るかもしれない。

 
(写真をクリックすると拡大します)
 遊泳中のオオクチバス(ブラックバス)。スズキ目サンフィッシュ科に属する。 
自宅や料理店にオオクチバスを生きたまま運搬することは禁止されている(外来生物法)。なお、海産のスズキはシーバスとも呼ばれスズキ目スズキ科に属し、ルアーフィッシングの対象種で、高級魚とされている。
 写真は、琵琶湖博物館の1階のレストランのメニューの一つ、「湖の幸の天丼」。オオクチバスと琵琶マス、シソの葉のフライが1品ずつと、赤いテナガエビがご飯の上に盛ってある。オオクチバスの肉は白身、琵琶マスはピンク色であるので区別が付く。オオクチバス関係の他の料理メニューはいずれもフライであった。フライ以外の他のよい調理法があれば、ご一報下さい。
 琵琶湖博物館。太古からの琵琶湖の変遷と、湖およびその周辺に棲んでいた生き物、例えば、ゾウなどの化石や、琵琶湖を中心とした人々の生活と文化、日本有数の淡水魚を集めたアクアリウムなどの展示が素晴らしい。
 琵琶湖博物館は琵琶湖の南東岸にあり、敷地が広々とし、広いガラス窓から琵琶湖の風景を楽しむことができ、立地条件が極めて良好である。
 琵琶湖博物館の水槽。琵琶湖の湖底にいるような感じで、琵琶湖に生息するいろいろな淡水魚を下から見上げることが出来る。是非一度は訪れたい博物館である。


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